トレーニング記録は手書き?アプリ?

皆さんはトレーニングをするときに記録をとっていますか?
トレーニング効果を有効活用するためにはトレーニング記録をつけることはとっても重要です。
今回はトレーニング記録について述べたいと思います。

トレーニング記録をとる理由

現在地と目的地を確認する

なぜ、トレーニング記録をとる必要があるのでしょう?
何かを始めるにしても現状を把握しないことには何も始まりません。
トレーニングするということは何かしら目標や目的があると思います。それらを達成するためには現在地を把握しないことには目的地にたどり着けないいでしょう。もし偶然、たどり着いたとしても実は遠回りだったりもします。

これまで継続的にトレーニングをしているのであれば、「前回はどうだったか」ということを把握する必要があります。
まったくトレーニングをしたことがない方も、初回で自分の行うエクササイズとその重量や回数を知らないと、次回以降何をしたらよいか困るでしょう。


成長過程がわかる

トレーニングをしていると、前回だけではなく過去どれくらい挙げていたか気になってきます。
毎回行うようなエクササイズ種目は特に気になります。1か月前、3か月前、半年前、1年前…
その記録を見ると自分の成長過程が見えてきます。
立てた目標に対してどれくらい近づいているのか成長過程が視覚化できます。
トレーニングの原理・原則に「過負荷(オーバーロード)の原理」「漸進性(ぜんしんせい)の原則」というものがあります。
これは、成長するためには前回できた負荷(重量や回数)より少しずつ増やしていくことで記録向上を目指していきます。

モチベーションアップ

これは、前述の「成長過程がわかる」とつながっています。 過去と現在の記録とを比較することで成長度合いが視覚化できるため、それがモチベーションアップにつながります。特にトレーニングを始めたばかりの初心者はトレーニングを行うたびに重量や回数が増えていくのでやる気につながります。中・上級者になってくると毎回記録向上というわけには行きませんが、「次回こそは」というのもモチベーションアップになります。 最近、まじめにトレーニングしているのに「トレーニング記録が上がってないな」と感じたら一度トレーニング記録を見返してみることをお勧めいたします。なにか改善点はないか?コーチやトレーナー、チームメイトに相談してもよいかもしれません。過去の記録がわからないことには何を改善したらよいか判断できません。この時のためにトレーニング記録をつけているのです。

トレーニングの何を記録するか

客観的なことの記録

さて、ここからはトレーニング記録をつける上で何を記録するかについて述べたいと思います。

① 日付(曜日)

トレーニングをした日付です。これは前回実施してからどれくらい期間が空いたかがわかります。
実施する間隔が短すぎても空きすぎても効率が悪くなります。曜日も記録しておくとよいでしょう。
なぜなら日常生活は曜日と密接につながっているからです。
また、トレーニングを実施する曜日を固定しておくことで、習慣化することができます。

② 時間帯

トレーニングを実施した時間帯です。開始時間と終了時間を記録します。
これはサーカディアンリズムによって、一日のうちで体調が異なるためです。
日常の仕事や授業、練習など生活リズムの違いで体調を知ることができるようになります。

③ 体重(体脂肪率)

減量(ダイエット)や増量が目的でなければ毎回記録する必要はありません。
毎日記録する必要がないとはいえ、1か月ごとや3か月ごとなど定期的に測定して、体重の変化を知っておく必要はあります。
トレーニングしていく上で記録が向上したり停滞している原因が筋肉量などの増減によるものかもしれないことがあります。
体脂肪率については計測方法にもよりますがメーカーや計測機器の個体差(キャリブレーションの差)、時間帯(朝か夜か)、インピーダンス法であれば測定時の体内水分量(計測前後や食事の前後など)、キャリパー法であれば測定する人の個人差などにより異なりますので、あまり記録に一喜一憂せずあくまでも参考とするのがよいでしょう。

④ エクササイズ種目、重量、回数、セット数

トレーニング記録をつけている方でもおろそかにしがちですが、「実施した順」に書くことが最も重要です。
エクササイズを実施した順番によっても記録は異なります。
重量、回数、セット数はトレーニングボリュームといい、どれくらいトレーニングを行ったか客観的に把握することができます。
重量と回数は「○○㎏×10回」のような感じでよいでしょう。
セット数は「○○㎏×10回×3セット」でも良いですし「○○㎏×10回、10回、10回」という書き方でもかまいません。
いずれにしても自分がわかりやすい記録の仕方があれば方法は自由です。
他には分数のように分母に重量、分子に回数を記録する方法などもあります。
重量について注意する点があるとすれば、マシンによってはキログラムではなくポンド表示(○○LBなど)があります。
また、ウエイトスタックの枚数(番号)だけ、油圧式や空気圧であれば数字のみなどあります。
レッグプレスやスミスマシン、プレートローディング式のマシンでは初期重量を気にされる方もいらっしゃると思いますが、メーカーによって異なってきますのであまり気にせず実施したプレートの重量(枚数)を記録すればよいでしょう。

その他、ジムによっては血圧測定を義務づけるところがあるかもしれません。
専門的になると挙上速度や心拍数なども記録できるものもありますが、ご自身の負担でなければ記録しておいてよいと思います。


主観的なことの記録

次に、主観的なことの記録です。
先ほどのサーカディアンリズムではないですが、その日の体調によって感じ方が変わってきます。
重量が重く感じる日、軽く感じる日いろいろあります。
発熱があるなど明らかに体調が悪い日はトレーニングをすることをお勧めしませんが、体調が良いと思っていても重量や回数がこなせないという日もあります。
逆に、ウォーミングアップ中に「今日は調子が悪そうだな」「なんか今日はやる気が出ないな」と感じていても記録や回数を更新したりすることもあります。
そういうときのために、何か感じたことを一言でも記録しておくというのも重要です。
モチベーションを上げるために月の始めなどに目標を書くこともよいでしょう。

トレーニング記録の例

では具体的にトレーニング記録例を挙げてみます。
なお、エクササイズ名や重量など内容は実際にトレーニングしたのものではありません。

202✕年○○月○○日(△曜日) 19:00~20:00
ウォームアップ:固定式自転車 レベル3 × 5分間
1.ハングクリーン
 20㎏×8回、40㎏×3回、50㎏×6回、6回、5回
2.スクワット
 20㎏×10回、40㎏×10回、60㎏×5回、80㎏×10回、10回、10回
3.フォワードランジ
 20㎏×左右各5回、40㎏×左右各10回×3セット
4.レッグカール
 20㎏×10回、33㎏×10回×3セット
5・プランク
 30秒×3セット

今日は調子がよく、クリーン6回✕3セット達成できるかと思ったが、3セット目であと1回できなかった。次こそ達成したい。
スクワットは80㎏で10回✕3セットできたので、次回は12回✕3セットにする。

このような感じで記録します。
体重や体脂肪率を加えても良いですし、エクササイズ名に略語(スクワット→SQ)を使用することもあります。
記入するタイミングは1種目終了後、次の種目に移る前のインターバルに記録するのがベストタイミングです。
その日のトレーニングが全て終了してからだと最初の方の重量や回数を忘れてしまうことがあります。

トレーニング記録は手書き派?アプリ派?

手書きで記録するメリットとデメリット

トレーニングの記録をつけるものは手書きが良いのかそれともアプリが良いのか迷うと思います。
ここでは手書きのメリットとデメリットをお伝えします。

手書きのメリット

・記録内容が消えない
 手書きといっても、ルーズリーフやレポート用紙のようにバラバラになるものではなく「ノートに手書き」です。シャープペンやフリクションは消せてしまうので筆記具としてはNGです。間違えたら二重線で訂正すればよいです。もちろん自分しか見ないからといって記録の改ざんはいけません。記録向上しなかったら素直に自分の負けを認めて次回に向けてのモチベーションアップに役立てましょう。
・記憶に残る
やはり手で書くことによるアウトプットが脳に刺激を与えるため、記憶に残るということが報告されています。
実感としてもそれはあります。最近ではテクノロジーが発達してジムによっては会員カードやキー、顔認証などで個人の記録にアクセスできるなど便利ではあります。
それでもやはり過去の記録を見返すときにはノートが便利です。
疲労した状態で記入した文字も情報源といえるでしょう。
・中途の記録も残せる
「中途の記録」とは、補助者(スポッター)に手伝ってもらったとか、ベンチプレスやスクワットの深さが浅かったといった感想とは違った記録を残せることもメリットです。
フォーストレップスやネガティブトレーニングは効果が低いとして最近ではは行わない傾向にありますが、トレーニング法の可否は別として、例えば「ベンチプレス:90㎏✕3回+2」の「+2」のように「3回は自力で挙げたが、2回補助してもらった」とか「+2回ネガティブで行った」といったこと、5回挙上を目標にしたが5回目が挙上できなかった(潰れた)ことなど感想ではなく記録として「○○㎏✕5回目△」などのように自分でわかる記号で記録しておくこともできます。

手書きのデメリット

ノート、筆記具を忘れることがある。
ジム用バッグにノートと筆記具を入れていると、いつもと違うバッグだったとか出張などでノートを忘れたということもあります。
ノートを忘れただけでテンションが下がることもあります。その時はとりあえずいらないメモ用紙に記録しておき、後日ノートに転記するなどその場合の対処法を備えておくのがよいでしょう。


アプリで記録するメリットとデメリット

次にアプリ(デバイス)のメリットとデメリットをお伝えします。

メリット

・記録媒体を忘れにくい
最近はスマートフォン(スマホ)やタブレットに限らず、腕時計型や指輪型のデバイス(情報端末)も存在します。
今やほとんどの人はスマホは日常生活に欠かせないものとなり、肌身離さず持っていることと思います。
トレーニング記録のアプリも多数開発されていて、しかもそのほとんどが無料というのは大変便利だと思います。
記録する本体そのものを忘れないというのはメリットです。
・成果を視覚化するのが容易
記録した結果をグラフであったり、目標に対してあとどれくらいか視覚化してくれるのもメリットです。
ジムによってはマシンの使用方法を動画で説明してくれたり、デジタルスタンプカードで来店ポイントがたまるものもあります。
モチベーションを上げるためには必要なことだと思います。

デメリット

電池残量やネット環境に左右される
いくらスマホやタブレットが便利とはいっても電気製品です。充電が切れていては全く機能しません。
最近ではクラウドで記録をする方法もありますが、電波状況といったネット環境に依存するという点では自分の機器の充電量にかかわらず不具合ということもあり得ます。ジムでは専用アプリで管理しているのに店舗の電波環境が悪いこともあります。
また、スマホをいじることで集中できないということもあります。トレーニング記録をつけるつもりで手にしたスマホがいつの間にかメールチェックなど他のアプリを起動していたとか、SNSや動画サイトを閲覧していたということもあります。最近ではプライバシー保護の観点から「ジム内でのスマホ操作禁止」というところもあると思います。だから「腕時計型のデバイスが…」ということになるのでしょうが、結局は電気製品です。
・データが消える可能性が高い
これは物理的に壊れたとか水没したということもありますが、使用しているアプリ自体の仕様変更、機種変更したときにアプリ内の記録移行ができなかったといったことも考えられます。デバイスやアプリの都合で左右されるのはトレーニングに集中できる環境とは言えません。
・アプリに載っていない項目(エクササイズ種目)をする、文字数制限などがある。
比較的初心者ですとエクササイズ名と種目が一致していない場合があったり、中・上級者だとトレーニング名称が一般的でない種目があります。
トレーニング名称も「ダンベルワンレッグスティッフレッグデッドリフト」とかやたら長い名称や「アーノルドプレス」のように過去のボディビル選手の名を冠したものもあったりします。(アーノルドプレスがアプリに載っているかどうかは別として)正直なところ、私も知らないトレーニング用語や名称がまだまだたくさんあると思います。

「ノートに手書き」がおすすめ

トレーニングの記録をつけるものは「手書き」「アプリ」それぞれのメリットとデメリットをお伝えしてきました。 結局「どちらがいいの?」ということになります。私の個人的な意見としては「ノートに手書き」をお勧めします。 ノート本体をなくさない限り記録内容が消えることがほぼありません。(水に濡れてにじむなどはあるかもしれませんが、スマホでも水没する危険性は同じです。)残り充電を気にしたりOSやアプリの不具合(たまにアップデート中なんてこともある)、ネットワークの不具合などトレーニングに集中するためには手書きノートが一番だと思います。ノートの大きさや筆記具は皆様の気に入ったものでよいと思います。私はA6サイズ(105㎜✕148㎜)と筆記具はボールペン(フリクションはNGです)を使用します。 3色や4色ボールペンなどで色分けする方も中にはいらっしゃるそうですが、ノートもボールペンも100均で購入できるようなもので充分です。 お気に入りの文房具を使用するというのもモチベーションアップにはよいかもしれません。

トレーニング記録は手書き?アプリ?まとめ

どうしてもデジタルで管理したいのであればジムでの記録は手書き、管理はデジタルというのもアリだと思います。
それぞれのメリットを活かしたハイブリッドな記録・管理方法でもよいでしょう。

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このコラムを書いた人

Physical Context [ フィジカルコンテクスト ]代表中村波雄

経歴

  • 社会人アメリカンフットボールチーム
  • 東海大学トレーニングセンター(ラグビー部、男女柔道部、男女テニス部など)
  • 森永製菓(株)ウイダートレーニングラボ
  • 東海大菅生高校ラグビー部
  • 山手学院野球部
  • 日本道路公団柔道部
  • 実業団ノルディックスキーチームEINS
  • 桐蔭学園柔道部(桐蔭横浜大学、高校男女、中学)
  • 全日本男子柔道チーム
  • 淑徳大学柔道部
  • 九州看護福祉大学柔道部 など

委嘱

  • 全日本柔道連盟サポートスタッフ(男子ストレングス担当):2001年~2008年(アテネ、北京オリンピック)
  • 日本オリンピック委員会強化スタッフ(柔道・情報戦略):2001年~2012年

資格

  • NSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)認定ストレングス&コンデショニング スペシャリスト(CSCS)
  • NSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)認定パーソナルトレーナー(CPT)
  • JATI(日本トレーニング指導者協会)上級トレーニング指導者(JATI‐AATI)
  • 国際救命救急協会C.P.R+AED

メッセージ

Physical Context [ フィジカルコンテクスト ]は、アスリート、一般の方々の身体力向上、コンディショニングのお手伝いをいたします。
不易流行という言葉に表されるように、あまり奇をてらった方法や流行に左右されず、原理・原則に基づいたトレーニングプログラムをご提供いたします。

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